未来をより良く生きるために

29 10月 自分を大切にする③

10月14日 夜

はじめに全ての服を出してみる。

Tシャツ、14枚。いつの間にかこんなに増えてたんだ。半分でいいや。

スポーツ用のポロシャツ2枚。これはちょくちょく使ってるから処分はなしだな。

短パン4つ。これは全部使ってる。

ジャージ、4組。中学校ものはどう考えても使わない。

トレーナー3枚。どうも首回りのきついのが苦手で、あまり着てない。どうせ着ないけど、ひとつだけ取っておく。このへんが、勇気の足りないところかな。

学生ズボン2本。これは使う。もちろん制服も。

下着・・・かなりあるが、ヨレヨレのものが多い。半分にしても問題なし。

タイツ3本。これは捨てない。

靴下。なんと17足あった。少しよれたのと、なぜか片方しかないものは捨てる。

セーター2枚。カーディガン2枚。これは冬に必ず使う。

ジーパン2本。片方しか使ってないけど、1本は不安なので取っておく。

その他、ウインドブレーカーやスキーウエアなど、捨てられないものはそのままに。

処分すべきものをビニール袋に入れて、残りをタンスに戻す。とりあえずタンスの中にすべて納まった。おまけに整理もできたし、上出来だ。もともと服も少なくあまり興味もない分野なので、捨てることに躊躇はない。ここまで1時間ちょっとしかかからなかった。

 

朋子さんにメール。

朋子さん。

タンスの衣類を片付けました。衣類には何もこだわりがないので、割と早く終わりました。

あまり服は多くないのですが、それでも無駄なものがたくさん入ってました。すぐに処分します。

武志

これで机の中、本棚、タンスを仕上げたことになる。残りは押し入れ。でも、今日はやらない。ていうか、ちょっと集中力がなくなってきた。こっちは週末にがんばろう。

 

「かあさん、今日の部屋掃除終わった。これ、いらない服だから今度のごみに出しといて。」

「2袋も出たんだ。服残ってないんじゃない?」

「そんなことあるわけないでしょ。これでもタンスにさらっと一杯入るくらい残ってる。」

「まずはお疲れ様。部屋はきれいになった?」

「机の中とタンスの中だから、ぱっと見何も変わってないみたい。だけど、すごく使いやすくなった。やっぱり部屋の整理整頓で大事だね。」

「でしょ? 何なら他の部屋もやっていいわよ。」

「遠慮しとく。 ところでかあさん、週末に歯医者に行きたいんだけど。」

「あれえ?虫歯あったっけ? 痛いの?」

「そうじゃないんだけど、春先の歯科検診で軽いのが2本あったはず。痛くないから『まあいいか。』って思ってたけど、痛くならないうちにきちんと治そうと思って。」

「偉いね。ぜひいってらっしゃ。」

「それから、新しい歯ブラシ買いたいんだけど。」

「洗面台の下の引き出しに新しいの何本か入ってるよ。」

「うん、それは知ってるんだけど、歯に良さそうなのを自分で選んで買ってこようかなって。」

「へえー、部屋だけじゃなくて、身体も整えるってことね。」

「まあ、そういうこと。どうせなら自分のためにいいことをしようと思って。」

「良い心がけだから、歯ブラシ代は出してあげる。」

「感謝します。」

 

◇ ◇ ◇

 

善は急げ。自転車で夜の街に繰り出し、じゃなくて近所のドラッグストアへ。もちろん歯ブラシを買いに。

歯ブラシなんて似たようなものだと思ってたけど、改めて見るといろんな種類がある。「かため」「ふつう」「やわらかめ」はわかる。でも、どれがいいんだろう。毛先のとがってるものや山切りカット、ブラシの大きいのから小さいのまで。歯周ポケット?プラークコントロール?さっぱりわからない。

こんな時は人に聞く。これができるようになったのは、自分でも驚きだし、かなりの成長だと思う。

「あのー、すみませーん。」

「はい、いらっしゃいませ。何をお探しですか?」

「歯ブラシなんですけど、種類が多くてどれがいいのかわからなくて。」

「歯や歯茎に病気というか、トラブルがありますか?」

「いえ、ちょっと虫歯ありますけど、普通です。」

「虫歯、早めに医者行った方がいいですよ。」

「ええ、週末に行くつもりです。」

「まず、ブラシの硬さですけど、硬い方がブラシが寝ないのでいいんですが、歯茎を傷めることもあります。特に、ごしごし強く磨く人には進めません。でも、柔らかいとすぐにへたってきます。ブラシが寝てきたら、もう磨けないと思って下さい。」

「形や毛先は何が違いますか?」

「うーん、ここは好みの分かれるところですが、普通の平らなブラシで十分かと思います。それよりも、へたってきたら早めに交換する方がずっといいですよ。」

 

店員さんの「ヘッドが少し小さめのものを試してください。ていねいに磨けますから。」という言葉に素直に従い、かたさふつうの、ほんとに普通の歯ブラシを選んだ。250円。もっと安いものもあったけど、なんとなく気分で少しだけ高いのにした。「歯科衛生士推薦」という言葉にも負けた感じ。母さんごめん。でも、ごめんて言うほどの値段じゃないか。

歯磨き粉も興味あったけど、こっちはめちゃくちゃ高いのでやめておく。チューブ1本2000円て、信じられない。店員さんによれば、「歯磨き粉は、あまり多くつけないで磨いた方がいいですよ。店としてはたくさん使ってほしいところだけど、研磨剤が入ってるものでゴシゴシやると、歯が削れます。前に、一生懸命歯磨きして、表面のエナメル質全部削っちゃったって人がいたみたいですよ。」ということで、まずは歯ブラシをきっちり使いこなすことから始める。

 

店員さんから、「上手なブラッシングで健康な歯に」なんていうパンフレットももらい、かなり勉強になった買い物だ。それにしても、自分が歯ブラシにこだわるなんて、何だかおかしい。それに、家に帰ってから早く歯磨きしたい気分になってる。変なの・・・。

 

自分を大切にするって、こういう事でいいんだよね。

「自分を大切な人として扱う」という感覚って、ちょっとしたことでも我慢させるんじゃなくて解決してあげるって事でいいんだよね。

きれいな部屋で生活させて、健康に気を使って医者にも連れていって、栄養のあるものをバランスよく食べさせて・・・。

 

ん?・・。好き嫌いするなって事?

 

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小説「高1の春に」

自己紹介

縁あってたくさんの中学生と接してきましたが、まだ人生の準備運動の段階であきらめている子のなんと多いこと!そうじゃないよ。人生は中学卒業からが本当のスタートだよ。いくらでも自分自身と自分の人生を変えられるよ!
そんな思いをもってページを立ち上げた中年のおじさんです。

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