未来をより良く生きるために

13 6月 言葉の力④

6月19日

武志くん

先日私の店で一緒だった足立裕介くんのこと、覚えてますね。今日、彼からあなた宛にメールが届きました。アドレスがわからないので転送して欲しいとのこと。今日はその文章を送ります。

私も読みましたが、なるほどそうだなって勉強になりました。武志くんだけでなく、私も、裕介君も日々勉強です。

裕介くんは昔から、思い立ったら行動が早い子でした。こんなメールがどんどん届くかもしれませんよ。私もちょっと楽しみにしているところ。

武志くん

先日はありがとうございました。武志くんの話は少し前に聞いていて、どんな子なのかなってすごく興味がありました。運よく会うことができて、僕はラッキーですね。昔の同級生に自慢してます。なんと言っても、あなたは僕らの中ではスターですから。(笑)

シエロで話したこと、覚えてますか。言ってはならない言葉のことです。あれから僕もいろいろと考えました。自分が言った「怒りを増幅させる言葉」を本当に使っていなかったか。「無理」という言葉も使っていなかったか。口に出さなくても、気持ちの中でそう意識していなかったか。武志くんの前では偉そうなことを言いましたが、僕もまだまだ未熟な人間、頭でわかっていても感情と身体がその通り動かないことだらけです。(ちょっとだけ言い訳しますと、きっと朋子も同じです。)

 

言ってはならないこと。もう一つ思い出しました。それは「言い訳」です。(と書いておきながら、上の行に言い訳がある矛盾。)言い訳って、どうして言いたくなるのだろう。それはきっと、人間は自分をだめな人間だと思いたくないから。うまくいかないこと、できないことを全て自分のせいにするのは辛すぎます。だから、「自分が悪いんじゃない。」と納得させたくて、自分でも納得したくて口にするのです。

「部長がダメだから売り上げが伸びない。」「あいつがもう少していねいに話してくれたら、間違いがなかったはずだ。」「車がぼろいから、デートに誘えない。」「お金がないから何もできない。」「やりたくても、その時間がないんだ。」学校でもいろんな言い訳があるでしょう。「先生の説明がわかりにくいから成績が伸びない。」「教室が騒がしいから集中できない。」「けがをしちゃったから、力が落ちた。」仲間の実力がないから、試合に勝てない。」書いてみると改めて感じます。世の中は言い訳の宝庫です。「もっと背が高ければ。」「東京に生まれていれば。」「親がもっとしっかりしてたら。」「理解のある親だったら。」「道路が混んでなければ、もっと時間があったのに。」さらには自分の努力不足を言い訳に置き換えることも。「もっと体が柔らかければ。」「もっと頭がよかったら。」「最初から足の速い子に産まれていれば。」「音楽のセンスがあれば。」「もっと話上手だったら。」

言い訳は、自分が成長できないことを自分以外のせいにする行為です。言い訳は、人間を、人生を停滞させます。「成長できなかった理由があるよ。」という言葉は、自分を傷つけない甘い言葉です。自分のせいでないのだから、自分ではどうすることもできません。だから、できないままです。

 

そんな誘惑に負けてはなりません。

 

だから、言い訳はしない。厳しいけど、すべては自分のせい。でも、自分のせいだから自分が変われば解決できる。そう考えた方が気持ちが楽です。「部活で疲れたから、勉強できなかった。そんな練習をさせた顧問が・・。」でなく、「部活で疲れたくらいで何もできなかった。それは自分の弱さの問題。」と考えるのです。

 

言い訳は、言ってはならない言葉なのです。

 

さて、言ってはならない言葉については、武志くんも十分理解していることでしょう。でもね、それだけじゃ、何も変わらないかもしれません。だって、良く考えてみて下さい。

「言ってはならない言葉を言わない。」=「成長を妨げることをしない。」ということですよね。まだ、「成長するためにやるべきこと。」について何も触れていないのです。

たとえを変えると、「言ってはならないことを言わない。」というのは、「ブレーキを踏まない。」ということ。でも、ブレーキを踏まないだけで車は進みません。アクセルを踏まなきゃ!

 

身につけたい事がある。それを身につけるために、どんな努力をどれくらい続ければいいのか考える。計画を立てる。そして毎日これを実践する。効果を検証し、計画を見直す。また実践する。これが「アクセルを踏む。」ということだと僕は思います。

「無理って言わない。」から一歩進んで。「いや、できる。」「こんな努力をすればできるはず。」「だからこう計画した。」「その通り実行した。」「だから、できるようになった。」こんな流れを自分の中で作り上げて下さい。

実際、このシステムが出来上がった人間は、大抵のことは成功させてしまいます。僕も、こんな人間になりたいと願い、それなりに努力しているつもりです。

 

久々にくさい文章を書きました。書いてて自分が照れてます。一方で、文章を打ち込みながら、自分の今を見直す貴重な時間にもなりました。まあ、武志くんへのアドバイスというより、自分自身に宛てた誓いの言葉を、武志くんにも見てもらったという感覚でしょうか。

また、シエロで話しましょう。

武志くんの応援団員兼友人  足立裕介

 

6月24日

足立裕介さま

わざわざ僕のためにメールを下さり、本当にありがとうございます。

今後の僕の人生に、「無理」や「怒りを増幅させる言葉」「言い訳」がないように努力していきます。

実は、朋子さんから話を聞いた後で、「無理って言わないだけで成功するわけないよな。そんな簡単なことってあり得ないし。」と思っていました。でも、今のところ僕には夢や目標が定まっていません。だから、何をどう計画して努力していけばいいのか、わからないんです。僕は何をしたいんだろう、何になりたいんだろうと繰り返し繰り返し考えています。

少し考えているのが、「ものを作ることが楽しい。できたらそれを職業にしたい。」ということ。それ以上具体的なものはありませんが、足立さんのアドバイスを生かして、何か計画して実行していけたらと思います。

今まで、僕のまわりにいた大人は、親と先生だけでした。他にも近所のおばさんや親せきのおじさんなんかもいますが、毎日の生活やこれからの人生のことを相談したこともありません。今回、朋子さんや足立さんと知り合いになれて、もしかしたら(いえ、きっと)僕はラッキーなんだと思います。これからもよろしくお願いします。

長倉 武志

あっ、じいちゃんを忘れてました・・

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小説「高1の春に」

自己紹介

縁あってたくさんの中学生と接してきましたが、まだ人生の準備運動の段階であきらめている子のなんと多いこと!そうじゃないよ。人生は中学卒業からが本当のスタートだよ。いくらでも自分自身と自分の人生を変えられるよ!
そんな思いをもってページを立ち上げた中年のおじさんです。

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