「チコちゃんに叱られる」自体は、なかなか面白くて、好きな番組のひとつです、それは、今も変わりません。内容も楽しいですし、「働き方改革コーナー」という設定も、一般庶民の労働者にしてみれば有り難いですね。

 でも、最近「これは、いかがなものでしょうか?」と思わせるコーナーが出現してしまいました。それが、「岡村さんの全国嫁探しコーナー」です。

 このコーナー、メインは国内のある町をキョエちゃんが訪ね、特産品や地元のグルメを紹介するコーナーです。その中で「岡村と結婚してくれませんか?」とキョエちゃんが声をかけると、地元の女性が「ムーリー!」と腕をバツにして断る、そんなシーンが所々に出ています。

 これに「いじめの構図」を感じてしまう私は、気にし過ぎでしょうか。いえ、高校生の皆さんには、こんなところに敏感になってほしいと思うのです。

まず、自分が岡村さんだったらと考えてみます。「いや、気にしないよ。」という人もいるんでしょうか。少なくとも自分なら嫌だなーと思ってしまいます。高校で言えば、モテない自分の写真を持って友達が隣のクラスに行って「こいつと付き合ってくれませんかー?」「ムーリー!」という会話を繰り返し笑っているわけです。これを理由にクラスメートの岡村くんが不登校になったり最悪自殺したなんて事態になったら、マスコミからかなり叩かれるでしょう。もし教師が止めもしないで笑ってたりしたら、懲戒ものですね。

「いやいや、あれは番組を盛り上げるための演出であって、岡村さん自身も気にしていないんだよ。」という意見もあるでしょう。確かにこの番組の中で見ればそれも正しいのかもしれません。でも、一般論で言えば「本人も気にしてないし、むしろ喜んでる。」という認識が、しばしばいじめをエスカレートさせた事件を、私たちはいやというほど見てきたではありませんか。

 友達との話の中で、ちょっと相手をいじったり揶揄ったりすることはあります。私もそんな会話を楽しむことがあります。でも、それは瞬間的に破裂するおならみたいなもので、その瞬間はプッと笑えますが、それが繰り返し行われると不快になる性質のものなのです。

 番組に戻ります。私はあの「ムーリー。」という返事にも嫌悪感を覚えてしまうのです。「岡村さんと結婚してくれませんか?」に対する返事は、本来ならば「うーん、ちょっと、よく知らない人ですし。」とか「いやいや、芸能人と結婚なんて、ちょっと考えられないです。」やら「いえ、実は好きな人がいて。」「ちょっとすぐにハイとは言えないですね。お友達として付き合ってから。」100人いれば返事も100通りあるのが当たり前。それが「ムーリー。」の一言をみんなが繰り返す時、もはやそれは返事ではなく「この場面ではこう返事するものよ。」というお約束の返しであり、このタイプの共通認識が生まれると、他の反応が許されなくなります。この雰囲気の中では、実は岡村さんと友達から付き合っても良いと考えてる人でも、「ムーリー。」以外の反応をすることがストレスになり、自然周りに同調します。これ、いじめへの加担になります。

 たかがテレビの笑いに何を過剰反応してるんだという意見もあるでしょう。でも、テレビは特に若い人の行動に大きな影響を与えるもの。もしかして「こいつと結婚してやって。」「ムーリー。(笑)」が変なところで真似され、それでなくても出会いがなくて心を痛めている人が、さらに傷つけられたりしないといいのですが。

追記 2020年3月7日

 実はこの投稿をしたその日、同様の問題提起(断じて苦情ではないっ!)をNHKの「お客様の声」に投稿しました。受付のメールは来たので、きっと届いているでしょう。

日ごろNHKの番組をご視聴いただきありがとうございます。お寄せいただきましたご意見・ご要望・お問い合わせは、問い合わせ番号[D430304_343XXX]でお受けしました。このメールは、お客さまのメールを受信したことを自動的にお知らせするものです。 <<このメールは送信専用メールアドレスから配信しています。このメールへのご返信は、お受けしておりませんのでご注意ください。>>

NHKからのメール

 その後、次の「チコちゃんに叱られる」では、嫁探しコーナーはあったものの、露骨な「ムーリー」の声とポーズはなくなり、「うちの会社に来てくれるのなら。」という(ヤラセであったとしても)好意的な、ソフトな対応になりました。私の投書が原因というには対応が早すぎるので、きっと同様の投書が多数来ていたのでしょう。
 さらに、ネットのニュースでこの問題が取り上げられ、ネット上に意見が多数出されるに至りました。

 そしてそして、3月6日放送から、「嫁探しコーナー」はなくなっていました。

民意というものの使い方

 いじめに繋がりかねない番組のコーナーを、市民の声で改善させたこと、それ自体は悪いことではありません。むしろ、疑問に思うことやどうしても納得できないことに声をあげるということは、必要です。
 ただ、一方的に個人をバッシングしたり、政治に関してそれぞれの支持者が大非難大会を開いている状況もあり、注意が必要です。

 最近、ネットのニュースに「コメント欄」がありますね。あれを読むと、気持ちが悪くなるなることがあります。声をあげることは大切ですが、節度と理性をもって主張したいものですね。

そんなことを書いておいて、はて自分のサイトは大丈夫だったろうかと、振り返っております。

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