いったい何がしたいのか、わからない。

替えのシャツも含むと9万円になるという。

それも、公立小学校での話である。

校長は「学校をつかさどる」ことになっているが、だからと言って校長だから何でもありではない。

公立小「アルマーニ標準服」を導入 全部で9万、親は「子どもが置き去りにされている」

子どもが入学を予定している区立泰明小学校(和田利次校長)では、今春入学する1年生から、新しい標準服(制服)に切り替える。イタリアの高級ブランド「アルマーニ」に依頼してデザインを監修してもらったものだ。

洗い替えのシャツまでそろえると、全部で9万円だった。学校の説明によると、いまの標準服は、上着、長袖シャツ、ズボン、帽子をそろえて男子で1万7755円、女子で1万9277円。夏服が加わったこともあり、洗い替えの価格を加えても、3倍以上の値上がりとみられる(ハフポスト日本版 2018、2、8)

 

1 校長の役割とは何だろう

学校教育法第28条3
「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。」

「つかさどる」という聞きなれない言葉は、「担当する」という意味で、「校長は学校の仕事の全てを担当する。」ということになります。でも、校長一人で全てを担当することは不可能なので、他の職員が校長の命を受けて(つまり指示を受けて)いろいろな仕事を担当するというのが、今の学校組織です。

つまり、校長が全てに責任を持って、何でもやれることになります。

だから、法律上校長が「やるぞ」と言ったら、それはやることになってしまう。ある意味恐ろしい法律ですね。

2 アルマーニの制服が何をもたらすのか

上記にニュースにもコメントがありましたが、いったい9万円の服を着てグランドや砂場で遊べるのだろうか。鉄棒でぐるぐる回りなんか、本当にするのだろうか。私には理解できない。そもそも9万円する服など1着も持ってないし、着たこともありません。(ひょっとしたら、結婚式で着せられた服は9万円以上したかもしれないが・・・)

ハフポスト より

小学校1年と6年の体の大きさを比べてみてください。1年時に購入した服を6年まで着るなどということはできるはずもありません。下手をすると、2回買い換える家庭もあるでしょう。

3 制服はなくても

制服が必要かどうかという議論は昔からありました。個人的に「制服は必要ない。」という意見を持っていますが、「制服の方が毎日服を選ぶ煩わしさもないし、結局安いから制服の方が良い。」という意見にも一理あるとは思っています。

制服にするかどうかなんて、経済面で判断していいんです。制服がないと円滑な敎育活動ができないなんてことはありません。私も制服のない学校にいたことがありますが、何も問題ありませんでした。小学校でも中学校でも。

校長は次のように語っているそうです。

「時代の変化を体感させつつ、泰明小学校の児童であるというアイデンティティを育成していくための一環」

「これまでの歴史や伝統を守りつつ、小学校での『英語教育の導入』や、『地域との密接な連携』という新しい教育プログラムの導入と並行して行われていく泰明小学校の新しい時代に向けた変化であり、進化でもある」

「学校とは、学問だけでなく、倫理的な考え方や、集団生活でのあり方も同時に学ぶ場であると考えている。『服育』という考えに基づき、装うものからも学びの機会を得てもらいたい」

「装うものからも学びの機会を」得るのなら、自分で場や季節に応じた服を選択するために自由にすべき。高級服を着せて学びがあるとすれば、「いいものはやっぱりいいんだなあ。」という感嘆と、「高いんだから、大切に使おう。」という配慮くらいでしょう。でもそれは、子供が子供らしい生活を送ることの妨げになるかもしれません。

4 まとめ

一式9万円もするアルマーニの高級ブランドの制服を採択した公立小学校。そこに子供目線の意識や数万のお金を捻出するのに大変な思いをする家庭への思いが感じられず、「特色ある学校」を高級制服で表現しようとしたとしか思えません。

今からでも遅くはありません。校長がこの取り組みを撤回し、元の形に戻ることを願います。

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