昨年、キリマンジャロ山に登ってきました。
そうです。あの「キリマンジャロ」です。アフリカのタンザニアにある、標高5895m。富士山の1.5倍の高さの山です。
本格的な登山の経験がなくても挑戦できるとはいえ、1800mの登山口から出発し、毎日1000mずつ登り、5日間かけて頂上を目指す、けっこうハードな登山です。2日目以降は富士山よりも高い場所での活動となり、酸素が薄くて体が動きません。特に山頂アタックの日は、一歩踏み出す度にぜーぜーはーはーと呼吸が乱れます。
「本当に大丈夫だろうか。」
「倒れたりしないだろうか。」
そんな思考ができるうちはまだ良いほうで、後半は酸欠で脳も働かず、何も考えられない状態でした。現地のスタッフから「ジャパニーズストロングチーム! ドントスリープ! ライクバッファロー!」なんて応援されながら、でも、気力もなくだらだらと足を進める姿は、まるでゾンビ軍団です。
かなり苦しい経験でした。
でも、ジャングル地帯から氷河の残る山頂までの景色の変化。数種類のサルやカメレオンとの遭遇。ほんとに雄大なキリマンジャロの山容。現地スタッフや他国の登山者との交流、そして頂上に立った時の感動と達成感、そして絶景。これらの経験ができたことは、何にも代えがたいものです。
今回、何とか頂上に辿り着いたのは、仲間やスタッフの声がけやサポート、天候に恵まれたことなど様々な条件が整ったからでしょう。
でも、大前提として、
自分自身の体力がなければ成功しないし、挑戦すらできなかった。
ということは事実です。
体力は、人生を豊かにする手段のひとつ。
同じ経験でも、体力のある人にとっては楽しく、それがない人にとっては苦痛ということもあるでしょう。
体力が続かないばかりに、素晴らしい結果を手に入れる直前で挫折するかもしれません。
もちろん、体力が全てではありません。体力がなくても、好奇心と熱意でやり切ることだってできるでしょう。
でも、多くの場合、好奇心と熱意を維持するのも、やっぱり体力なんです。
体力がないよりは、あった方がいいです。その方がぜったい楽しいです。
キリマンジャロでお世話になった現地スタッフは、15キロの荷物を背負って陽気に喋りながらサポートしてくれました。最終アタックの時についてくれたポーターのアルフォンソは、自分の飲み水も持たず手袋もなしの手ぶらでやってきて、私のリュックを持ってくれました。(夜の11時から翌朝10時までですよ!)
彼らにとって、キリマンジャロの山頂に立つなんて、近所のスーパーに買い物に行くみたいなものなのかもしれません。
体力はほしいが、あそこまでの体力は必要ないか・・・いや、あの体力を身につけるのは不可能に近い。
ところで、「体力は大切」と書きましたが、「無理をしなさい。」とは言ってません。体を壊したら楽しくないですから。
「無理」だったことを「無理なく、楽しく」実行するための体力です。