18歳未満との交際、「真剣」以外はすべて違反に…大阪府が条例改正案
読売新聞 2/2(日) 10:04配信
大阪府が、2月議会に提出する府青少年健全育成条例の改正案の全容がわかった。条例は18歳未満とのわいせつ行為を禁じているが、現行では、脅したり、ウソをついたりしていなければ、処罰の対象外だった。改正案では、性的欲望を満たすことだけを目的としたわいせつ行為を禁じ、真剣交際以外はすべて違反となる。
府の条例を巡っては、処罰対象になる要件が他のほとんどの都道府県より厳しく、逮捕・書類送検が極端に少ないことが問題になり、府の審議会が対象拡大を提言していた。改正案では、脅しやウソの文言がなくても、18歳未満の未熟さに乗じてわいせつ行為に及ぶことも禁じる。
未成年を変態オヤジ(またはオバン)から守るために、このような条例が施行、強化されることは大賛成です。これがきちんと機能すれば、援助交際など安易に小遣いを稼ぐような中高生にも一定の歯止めがかかる可能性もあります。良いこです。でも、いくつかの問題点がありますね。
「真剣な交際を除く」
この条例は、真剣な交際には適用しないということらしい。確かに現在の法律では女性は16歳で結婚できることになっています。そもそも男が18歳で女が16歳という不平等にも大きな問題があり、今後法律を改正する必要があると思っていますが、とりあえずその問題は置いときます。
では、「真剣な交際」というものをどのように判断すべきでしょうか。現行の法律を駆使して解釈すれば、「未成年の婚姻には保護者の同意が必要である。」という事項が使えるようです。保護者(通常は親)が「うちの子が○○さんと性行為をしてるのは、真剣な交際だからいいのです。保護者として承認しています。」と申告すれば、○○さんが罪に問われることはないでしょう。しかし、これはあくまでも法的にこれならクリアできると言ってるだけのことで、現実にはそのようにはならないでしょう。例えば、我が子が援交相手とのいかがわしい行為を摘発されて警察に連れていかれたとしましょう。親が「これは真剣な交際です。」と認めれば我が子は無罪放免になる。本当は娘を拐かしたクソ野郎を告発したい気持ち満々だが、娘に「余計なことしたら、家出する。」なんて開き直られた挙句、「今回だけだぞ。」と折れる親。どうですか?本当に未成年が守られますか?
「大阪府の条例である」
大阪府の条例であるというのは、大阪府で適用されるということです。例えば大阪在住の未成年が奈良に行ってやらかした場合はどうなるでしょう。大阪府民でない人間が大阪にやってきてやらかした場合はどうでしょう。確かに大阪府が先陣を切って多少の改革を行なったことは評価できます。問題は、この条例がきちんと全国に広がらないと、ザル法になってしまうということ。今後、各都道府県で同様の条例が施行され、最終的に政令や法律として全国どこでも同じ基準で取り締まれる状態にすべきですね。
「取り締まる側の本気度」
「法律は作りましたよ。ダメですよ。」というのは簡単です。でも、世の中の問題は法律を作ったから解決するような問題ではありません。
例えば、最近法律として動き出した「あおり運転」。道交法に「あおり運転罪」という項目を設け、一発免許取り消しや懲役刑も適用できるようにするという話が出ています。良いことです。でも、「法律を作ったので、あおり運転は違法です。」と宣言したから「あおり運転」の全てがなくなりますか?本当に100パーセント規制するなら、全ての自動車にカメラの搭載を義務付け、あおり運転を受けたと思われる人が簡単に申し出られるシステムが必要です。例えばあおり運転を受けた人がガソリンスタンドに駆け込み「あおり運転です。画像見てください。」というと、スタンドの職員がその場で確認して警察に画像を送ってくれる。その費用を税金から出すとか、方法を考えるのです。
「殺人はいけません。」「人を騙して口座と暗証番号を聞き出し、勝手に引き出したら罰せられる法律がありますよ。」「子どもを虐待してはなりません。」はい、法律あります。でも事件はなくなりません。法律を作ったら、それをきちんと適用するためのシステムが必要なのです。虐待問題の時によく出ますね。「児童相談所は頑張っているんですが、人が足りなくて回らないんです。」という言葉。あの言葉に嘘はないと思いますが、結果的に「法律を作ったけど、それを運用できません。」と白旗をあげてことになるのです。
話を戻しましょう。今回の大阪府の条例は、未成年を性被害から守る第一歩として評価できる内容です。でも、「ああ良かった。これで大丈夫。」というわけにはいかないということも認識すべき。なにより、あなた自身の意識、我が身を守る意志と行動が必要です。