今年(2017年)のノーベル文学賞受賞者、カズオ・イシグロさん(イギリス)は、影響を受けた作家として、カフカやプルーストを挙げています。(さすがに難しい本を選ぶものです。)これらの作家とともに、大きな影響を受けた小説が、今回紹介する「ジェーン・エア」だそうです。
さすがノーベル賞受賞者、いい選択をしてくれました。
「ジェーン・エア」は、1847年発行。孤児であったジェーンが、逆境に耐え、人々の優しさに触れながら人間としてたくましく成長していく過程を綴った長編小説。また、ジェーンを家庭教師として雇ったロチェスター氏との恋愛小説でもある。詳しいあらすじを紹介するのは読書の楽しみを奪うことになるので控えますが、ジェーンの精神の強さがほとばしる文章は、「生きる姿勢」というものをストレートに感じさせます。150年経った現代でも幾度となく映画化、舞台化されている名作です。高校卒業までには必読の書。 (必読なんだから、必ずよんで下さい!!)
著者のシャーロット:ブロンテは妹のエミリー(「嵐が丘」の著者)、アン(「ワイルドフェル屋敷の人々」の著者)とともに、当時のイギリス文壇を牽引したブロンテ3姉妹として世界に知られる存在です。実はシャーロットの上に、もう2人の姉さんがいたのですが、肺炎で亡くなっています。姉さんが亡くなった様子も物語の中に織り込んでいて、自伝的小説という側面もあるそうです。
ところで、「ジェーン・エア」は、多くの出版社から出ています。(写真は、新潮文庫の表紙です。)既に著作権が消失したので、どこの会社が出版しても構わないのです。国際的な著作権の条約(ベルヌ条約)では、作家の没後50年と決めています。(50年は最低ラインで、さらに長い期間も認められることから、アメリカでは70年となっている模様。)