「君には問題がある。」

バドは続けた。

「そのことは職場の人間も知っているし、奥さんも知っているし、義理のお母さんも知っている。そしてご近所の人たち知っている。」

温かい笑顔だった。

「問題なのは、君自身がそのことに気づいていないいうことだ。」 本文より

初対面の人に、いきなりこんなことを言われたら、どうしましょう。

この本は、ネットの書評で評価が高かったので、「とりあえず読んでみるか。」くらいに手に取ったものです。

実際に読んでみると、おもしろい。そしてためになる内容です。

でも、このサイトで紹介するかどうか、ちょっと悩みました。

確かにこの本はおもしろい。でも、これをおもしろいと感じるのは、私が中年の社会人だからかもしれない。大人の人間関係に少なからず悩みやイライラ感を持っているから、実感を込めて読めるのかもしれない。高校生が読んでも、ピンとこないかもしれないし、説教じみてるだけのつまらない本と思われるかもしれない。

でも、これって高校生を見下した考え方ですね。

今回、この本を紹介するにあたり、「高校生を対等の大人として認めよう。」と再認識したところです。

 

本の内容は、

「相手とうまくいかない。いくら努力しても相手が応えてくれない。」と、誰もが感じていることが、実は自分が作りだしたものである。

という、いわゆる普通の自己啓発本。

だから、最初はそんなに期待していませんでした。

でも、この本のアプローチはちょっと違う。

自分の感情の変化を克明に再現し、そのきっかけが自分であったということを論理的に説明しています。

だから、はじめは反感を持って聞いていた主人公も、後半は納得の上で自己を変えようと行動を開始します。

議論の余地なく、「自分に責任があった。」と思ってしまうのです。

 

文章は、難解です。

いえ、使っている言葉は簡単です。

それでも、難しい文章です。まるで、自分の心のパズルを解いていくようです。理解と納得に時間がかかります。

「他の人たちを思いやるのは良いことだ。しかし、私が、自分は他の人のことを思いやれる人間だと思っているとき、実際には誰のことを考えているんだろう?」
「ご自分のことですね。」
「そうなんだ。」  

もしかしたら、納得できない場面も多いかもしれません。

そこを、しっかり粘って読み解いて下さい。

「職場の人間関係」を「友達、家族の関係」置き換えて考えて下さい。

素晴らしい気づきがあるはずです。

難解だからこそ、それを読み切る人間でありたいし、みなさんにもそうあって欲しい。

 

 

ところで、この素晴らしい本を読んで、私は何を思ったでしょうか・・・

 

ごめんなさい。

「人のことを考えない、自分勝手なあいつに読ませたい。」

なんて考えてしまいました。

こんなことを思ってしまった自分は、この本をきちんと理解もしてないし、行動も変えられません。

大反省!

「自分はとても心が広いと思い込み、物分かりの良さを裏付けるためにも、部下を否定的に見ざるをえないリーダー。いつも一番であろうとするあまり、他人にはうまくやらせまいとするリーダー。自分がそういうリーダーだということに、気づいたんだ。」

こんなふうに、自分を見つめる目を持ちたいものです。

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