〈わたしたちは、おそらくこれまでのどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。では、この人間とはなにものか。人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ〉

「言語を絶する感動」と評され、人間の偉大と悲惨をあますところなく描いた本書は、日本をはじめ世界的なロングセラーとして600万を超える読者に読みつがれ、現在にいたっている。原著の初版は1947年、日本語版の初版は1956年。その後著者は、1977年に新たに手を加えた改訂版を出版した。
世代を超えて読みつがれたいとの願いから生まれたこの新版は、原著1977年版にもとづき、新しく翻訳したものである。
私とは、私たちの住む社会とは、歴史とは、そして人間とは何か。20世紀を代表する作品を、ここに新たにお送りする。

みすず書房ホームページより

今すぐ読んでもらいたいかというと、少々迷いがある。楽しい本ではない。でも、若い時期に是非読んでほしい本のひとつである。できれば18歳~20歳あたりに読んでほしい。

 歴史上もっとも残虐な行為と言われているドイツの強制収容所。その中でもアウシュビッツ(現ポーランド)は、特に大量の殺戮が行われた場所だ。
 この本は、収容所を体験したユダヤ人医師の手記。生と死が常に隣り合わせている過酷な環境の中で、人々は何に希望を見出し、生きていったのか。歴史の中に埋もれてしまうしれない事実を後世に伝えた、意味のある本である。(翻訳は、「100人の村シリーズの池田香代子さん)
 これからの国際社会を生きる君たちには、「世界の歴史や民族・文化の背景を理解すること」そして、「異なる文化や価値観を持った人々と共に生きていく姿勢」を大いに養ってほしい。この本は、その一助となるだろう。

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